日本史の余談ですが 

先日紹介しました花の名所双六に出てきた「三囲の夕立」。

江戸時代前期に活躍した俳聖・松尾芭蕉の弟子、宝井其角(きかく)が雨乞いの俳句を三囲神社に奉納したところ雨が降り、干ばつに苦しむ人たちが救われた…という逸話が由来だそう。

で調べたところ、こんな浮世絵が!

こちら三囲神社に参詣に訪れた女性三人組が夕立に遭ってあわてているところ。
風も強いようで、左の女性は裾をおさえていますがきわどいところまで足が見えてしまっています。

余談ですが、こうしたハプニング的チラリズムを描いた浮世絵は「あぶな絵」と呼ばれています。

閑話休題。

こちらの浮世絵、上のほうを見ますと…なんと雲の上に人がいます。

頭に手をやり八の字まゆげの男性と、その男性を囲むように座るのは鬼と雷神。

この男性が宝井其角で、雷神に雨を降らせてくれるようお願いしているところなんです。

それにしてもこの鬼、めちゃくちゃ人間臭い。
着流し姿でキセルを吹かせて完全にリラックスモードです。

右側にいるのがおそらく雷神でしょう。

鬼「まぁ、そういうことだから雨降らせてやりな」
雷神「あ、じゃあ雨降らせてきますね」
其角「いやぁ、助かります」

なんて会話が聞こえてきそうです。

こちらの逸話は当時とても有名だったようで、江戸時代後期につくられた江戸のガイドブック『江戸名所図会』の三囲神社のところにも「元禄6年の夏、大いに日照りが続き、困った農民たちが集まって三囲神社に雨乞いの祈願をしていたところ、参詣に訪れていた其角が雨乞いの句を詠んで奉納したところ、その日のうちに雨が降った」というようなことが書かれています。

そのとき詠んだ句というのが

「夕立ちや 田をみめぐりの 神ならば」

田を見まわる神さまがいらっしゃるならば夕立を降らせてください、みたいな意味です。
「みめぐり」には「三囲」をかけています。

1 week ago | [YT] | 220



@木元西

この其角の雨乞いの句はもう一つ仕掛けがあって、折句が入っています。 夕立や 田を見めぐりの 神ならば 五七五の最初の音、夕立の“ゆ”、田の“た”、神の“か”。繋げて「ゆたか」。 作物が豊かに実るようにとの祈りが込められています。 なお、この時に雨が降ったのは「翌日」とする説と、「其角が乗って来た舟に戻る前に降り出した」とする説があるそうです。

1 week ago | 5  

@marita95moon-c2k

雨は恵みの雨と言いますように、降らないと困るし…。現代のゲリラ豪雨も災害級の降り方で困りますが😓 2枚目の御三方、まさにそういう相談をしているところですね😊 「ちょっと手加減して…」 なんて言ってるのか

1 week ago | 4  

@juliesells-rain

余談先生、皆さま、おはようございます😃 「あぶな絵」✨️ イイです!!この響き!! 2枚目の宝井さん、べらぼうで平賀源内を演じた安田顕さんみたいです

1 week ago | 4  

@リノホス

鳥居の柱の文字は「清長画」であってるかな?鳥居清長の絵では、娘さんの口は、まだ受け口ではありませんね😄 土手の上に小さく描かれている、笠を抑えながら駆けていく姿に、急な夕立の様を感じます

1 week ago | 3  

@quarter-to-tenr3t

鬼さんの方が雷神様より格上なんでしょうか。これも自分的には面白い。 『見囲』というのはそこから来た地名?なの?と読んでいましたが最後の最後に答えがありましたね。 『あぶな絵』いつの時代も男性はそういうのが好きですよねw

1 week ago (edited) | 2  

@tamayasha

いにしへの短歌や長歌には呪術的性格があったと言いますが俳句にも…!?歴史家の誰だったか「日本に中世はない。戦国時代まで古代で、江戸期の人々は西欧の中世くらいのメンタリティ」と言っていたようですが、一理あるかも?😮

1 week ago | 3