チャン医師

🧠 新型コロナ後遺症の嗅覚障害は「脳の変化」が原因か MRIスキャンで判明

科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された最新の研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後、長期にわたり嗅覚障害が続く人々は、感情や感覚処理に関連する脳の領域において、測定可能な変化を示していることが明らかになりました。

研究チームは、高度なMRI画像技術を用いて、新型コロナ後の嗅覚機能障害(post-COVID olfactory dysfunction)を持つ人々が、嗅覚や気分調節に不可欠な主要領域である「扁桃体(へんとうたい)」「梨状皮質(りじょうひしつ)」「被殻(ひかく)」において、明確な構造的差異があることを発見しました。

これらの変化は、匂いが歪んで感じられる「異嗅症(いきゅうしょう、parosmia)」などの症状を報告した人々で最も顕著であり、また、より高い不安や抑うつのスコアとも関連していました。

重要な点として、この研究はCOVID-19の症状が軽度で入院歴のない人々に焦点を当てており、重症化や治療による影響を排除しています。この発見は、持続的な嗅覚障害が単なる感覚の問題ではなく、脳内の深刻かつ長期的な変化に関連している可能性を示唆しています。

これらの神経系の変化は、直接的な損傷というよりも、脳が適応または代償しようとした結果を反映している可能性があります。しかし、それらが気分障害と関連していることは、「Long COVID(新型コロナ後D遺症)」のより広範な影響を浮き彫りにしています。本研究は、影響を受けた人々に対する継続的な神経学的モニタリングとメンタルヘルスサポートの必要性を強調しています。

論文 Thaploo D, Schmill LP, Behrend N, et al. (2025). Alterations of the amygdala in post-COVID olfactory dysfunction (新型コロナ後の嗅覚機能障害における扁桃体の変化). Scientific Reports, 15(1), 36104.

2 weeks ago | [YT] | 0